脂肪吸引のダウンタイムはいつまで?経過は「2つの山」でできています

脂肪吸引を受けようとして休みの日数を調べている方も、すでに受けて経過に不安を感じている方もご覧になっているのではないでしょうか。

脂肪吸引のダウンタイムは、1本の線ではありません。2つの山でできています。
第1の山は、痛み・腫れ・内出血。手術の直後から始まり、2〜4週間で落ち着いていきます。ここは、多くの方が想像している「大変な時期」です。
問題は第2の山です。術後2〜3週間ごろから「拘縮」が始まり、3〜6か月かけて落ち着いていきます。

つまり、目に見える腫れが引いた頃に、硬さやでこぼこという別の症状が始まるのです。
これを知らずに「1か月で終わる」と思っていると、そこから始まる変化を「失敗した」と受け取ってしまいます。実際には、経過として想定されている範囲です。

なお、期間はすべて目安であり、吸引した部位・量・体質によって異なります。

そもそも脂肪吸引で何をしているのか

経過を理解するには、体のなかで何が起きたのかを押さえておくとスムーズです。

脂肪細胞を取り出しています

脂肪吸引は、カニューレと呼ばれる細い管を皮下に入れ、脂肪細胞そのものを吸い出す手術です。
脂肪を「減らす」のではなく、「取り出す」——ここが重要です。取り出したあとには、その分の空間が残ります。

空間が残るということ

ダウンタイムに出る症状の多くは、この空間をめぐって起きています。

  • 空間に麻酔液やリンパ液がたまる → むくみ
  • 空間を埋めて皮膚と皮下をくっつけようとする → 拘縮
  • 空間が残ったままだと皮膚がたるむ → だから圧迫する

つまり、むくみ・拘縮・圧迫の必要性は、すべて同じ原因から来ています。

傷と麻酔もあります

加えて、挿入のための切開と麻酔があります。痛み・腫れ・内出血は、こちらに由来します。

手術であることを踏まえてください

「切らない施術」の延長ではありません。手術です。そのぶん、変化も大きく、経過も長くなります。
この記事で解説しているダウンタイムの長さは、手術としては特別に長いものではありません。そういうものだと知っておいていただくことが、経過を落ち着いて過ごすうえで役に立ちます。

結論|経過は「2つの山」でできています

第1の山|腫れ・内出血

手術の直後から始まります。

  • 痛み……最初の数日が強い
  • 腫れ……翌日から出て、目立つものは2〜4週間で落ち着くとされています
  • 内出血……翌日から出て、2週間程度で薄れていきます

この時期は、術前より太く見えます。細さを判断することはできません。

第2の山|拘縮

そして、第1の山が引いてくる頃に、第2の山が始まります。
拘縮(こうしゅく)は、皮膚が硬くなる、でこぼこする、引きつる感じがあるという状態です。
始まるのは術後2〜3週間ごろ。落ち着くまでに3〜6か月かかるとされています。

谷ではなく、切り替わりです

2つの山の間には、はっきりした谷がありません。
腫れが引ききる前に拘縮が始まるため、「よくなってきた」と思った矢先に別の症状が出てくる——という感じ方になります。
これが、脂肪吸引の経過でいちばん誤解されている部分です。

何が起きるか|症状ごとに

痛み

術後3日程度が最も強いとされています。筋肉痛が強く出たように感じられる方が多いです。
鎮痛薬でコントロールできる範囲とされています。処方された薬は、痛くなってから飲むのではなく、指示に沿って使ってください。

腫れ

翌日から出て、目立つものは2〜4週間で落ち着くとされています。部位によって差があります。

内出血

翌日から2週間程度とされています。青紫色から黄色へ変化しながら薄れていきます。

むくみ

術後数日ごろから現れ、1週間程度で落ち着くとされています。脂肪を取り除いた空間に、麻酔液やリンパ液がたまることが原因です。

しびれ

部位によりますが、数日後から2か月程度続くことがあります。触った感覚が鈍い、ピリピリするといった形で現れます。
期間は長めですが、多くは時間の経過とともに戻っていきます。

拘縮

術後2〜3週間ごろから始まり、3〜6か月かけて落ち着くとされています。

症状と時期の一覧

症状 出はじめ 落ち着く目安
痛み 直後 3日〜1週間
腫れ 翌日 2〜4週間
内出血 翌日 2週間程度
むくみ 数日 1週間程度
しびれ 数日後 2か月程度
拘縮 2〜3週間後 3〜6か月

※部位・吸引量・体質によって異なります。

拘縮について

どういう状態か

  • 皮膚が硬くなる
  • 表面がでこぼこして見える
  • 引きつるような感覚がある
  • 動かすと突っ張る

触ると、板のように硬く感じる部分があることもあります。

なぜ起きるのか

脂肪を取り除くと、そこに空間ができます。
体は、その空間を埋め、皮膚と皮下の組織をくっつけようとします。この過程で、組織が縮んだり、線維がつくられたりします。
拘縮は、この「くっつけようとする働き」そのものです。異常が起きているわけではなく、回復の過程で必然的に起こる反応とされています。

いつ始まり、いつ終わるのか

始まるのは術後2〜3週間ごろ。ここで「硬くなってきた」と感じます。
ピークは1〜2か月ごろです。
落ち着くのは3〜6か月。徐々にやわらかくなり、表面がなめらかになっていくとされています。

「失敗した」と受け取らないでください

拘縮の時期に、多くの方がこう考えます。
「腫れが引いたら細くなるはずだったのに、硬くてでこぼこしている。取り返しのつかないことになったのではないか」
これは経過の一部です。時間をかけて落ち着いていくとされています。

ただし、次の場合は別です。痛みが強い、日を追って悪化している、左右で明らかな差がある——このような場合は、自己判断で様子を見ずにご連絡ください。

硬さの程度には差があります

拘縮の出方には個人差があります。ほとんど気にならない方もいれば、はっきりと硬さを感じる方もいます。
吸引量が多いほど、また皮下の脂肪層が薄くなるほど、拘縮は出やすいとされています。

圧迫はなぜ必要なのか

術後は、着圧の強い衣類で施術部位を圧迫します。ここに理由があります。

2つの目的

圧迫には、大きく2つの目的があります。

皮膚と皮下を密着させる

脂肪を取り除いた空間が残ったままだと、皮膚がたるんだ状態で固まる可能性があります。
圧迫することで、皮膚が新しい形に沿って落ち着くのを助けます。つまり、圧迫は仕上がりに関わります。

むくみとたるみを防ぐ

空いた空間には、麻酔液やリンパ液がたまりやすくなります。これがむくみの原因になります。
圧迫は、この停滞を抑える効果もあります。

いつからいつまで

一般に、手術翌日から1か月程度とされています。部位・吸引量・状態によって、期間と着用時間の指示は変わります。

自己判断で外さないでください

圧迫着を着けて過ごすのは楽ではありません。きつい、暑い、服が限られる。外したくなる気持ちは分かります。
しかし、前述のとおり圧迫は仕上がりに関わります。きつい、暑いといった理由で外すと、むくみが残ったり、皮膚がたるんだまま固まったりする原因になります。
どうしても続けられない場合は、外すのではなく、まずご相談ください。

部位によって違います

同じ脂肪吸引でも、部位によって経過が変わります。

顔

ダウンタイム全体は3か月程度とされています。腫れのピークは術後2〜3日で、1〜2週間かけて落ち着いていきます。
隠しにくい部位であるため、予定との調整が難しい面があります。

二の腕

比較的軽いとされています。痛み3日程度、腫れ1週間、内出血2週間、しびれ2か月程度が目安です。
ただし、腕を上げる動作に影響します。

腹部

負担が大きい部位とされています。範囲が広く、吸引量も多くなりやすいためです。

太もも

腹部と並んで重いとされています。歩行や座る姿勢に影響します。

部位別の目安

部位 痛みが強い期間 目立つ腫れ 全体の目安
顔 2〜3日 1〜2週間 3か月程度
二の腕 3日程度 1週間程度 3〜6か月
腹部 3〜7日 2〜4週間 3〜6か月
太もも 3〜7日 2〜4週間 3〜6か月

※いずれも目安です。吸引量によって大きく変わります。

早く治すためにできること

圧迫を続ける

これが仕上がりや回復において最も重要です。

動かす

指示のあった範囲で、日常の動作を普通に行ってください。痛いからと動かさないでいると、硬さが残りやすくなるとされています。
ただし、強く伸ばす、無理に反らすといった動作は別です。

温める(時期に注意)

血流を促す目的で、入浴が勧められる時期があります。ただし、術直後は入浴を制限します。
いつから湯船に入ってよいかは、指示に従ってください。

マッサージの開始時期

拘縮の時期にマッサージを勧められることがありますが、開始してよい時期と、力の強さの目安があります。
早すぎる時期に強い力で行うと、内出血や痛みの原因になります。いつから、どのくらいの強さで行うかを必ず確認してください。
自己流で強く揉むことは、避けてください。

水分と塩分

水分は普通に摂ってください。むくみを気にして控える方がいますが、逆効果になることがあります。
塩分の多い食事は、むくみを強める方向に働きます。しばらくは控えめにしてください。

必要ないこと

根拠のない対処法を自己判断で行う必要はありません。
とくに指示されていない器具の使用などは避けてください。回復の過程にある組織に、余計な負荷を加えることになります。

睡眠・食事・生活のこと

日常生活において、経過に関わる注意点をまとめます。

睡眠の姿勢

施術部位を圧迫しない姿勢で寝てください。腹部であれば仰向け、二の腕であれば腕の下に体重をかけない、といった配慮です。
顔の場合は、枕を高くすることでむくみが出にくいとされています。

喫煙

喫煙は血流に影響し、傷の治りを遅らせます。術前後は控えることをおすすめしています。

飲酒

血流が良くなると、腫れや内出血が強く出ることがあります。指示された期間は控えてください。

食事

極端な制限は必要ありません。ただし、前述のとおり塩分の多い食事はむくみを強める原因になります。
たんぱく質は、組織の修復に必要な栄養素です。無理のない範囲で意識してみてください。

運動

再開の時期は部位と状態によって変わります。早すぎる再開は、腫れや内出血を強めることがあります。診察の際に確認してください。

体重

術後しばらくは、体重を大きく変動させないほうがよいとされています。残った脂肪細胞が大きくなれば、仕上がりに影響します。

仕事と予定

休みの目安

期間 状態の目安
当日〜3日 痛みが強い。休みを取ることをおすすめします
4日〜1週間 腫れが残る。デスクワークなら可能な場合が多い
1〜2週間 内出血が残る。露出を避けたい時期
2週間〜1か月 圧迫着の着用が続く
1〜6か月 拘縮が落ち着いていく

部位と職種によって変わりますので、診察の際にご相談ください。

服装の制約

圧迫着を着けて1か月過ごすことになります。ぴったりした服の下では目立ちます。夏場は暑さもあります。
露出したくて受けた施術で、1か月は隠すことになる——この点は、時期を決めるうえで考慮に入れてください。

予定からの逆算

仕上がりの判断は3〜6か月後です。大切な予定に合わせる場合は、半年前を目安にご計画ください。

経過をどう記録するか

3〜6か月という長期間を安心して過ごすために、変化を自分で記録・確認できるようにしましょう。
毎日見ていると、変化は分かりません。記録に残しておくと、落ち着いて待てます。

写真の撮り方

場所・明るさ・角度をそろえて撮ってください。条件が変わると、比べても意味がありません。

  • 自然光の入る窓のそばで
  • 正面と横からの両方
  • 力を入れない姿勢で
  • できれば朝の同じ時間帯(むくみの影響を揃えるため)
  • 加工やフィルターをかけない

触った感じも記録する

拘縮の時期は、見た目より触った感じのほうが変化が分かります。「板のように硬い」「押すと少し沈む」「つまめるようになった」——簡単な言葉で構いませんので、日付とともに書き留めておいてください。

比べる間隔

2週間から1か月ごとをおすすめします。毎日比べると、変化がないように見えて不安になります。

診察の際に役立ちます

記録があれば、経過が想定の範囲かどうかを判断しやすくなります。ご持参いただければ、診察の際に確認します。

一度で終わらない場合について

追加を検討することがあります

脂肪の量、皮膚の状態、希望する形によっては、1回で希望どおりにならないことがあります。
ただし、判断は3〜6か月後です。拘縮が落ち着く前の状態を見て「足りなかった」と判断することはできません。

左右差について

わずかな左右差は、もともと誰にでもあります。術後の一時期には、拘縮の出方の違いによって左右差が強く見えることがあります。
明らかな差が半年経っても残る場合は、ご相談ください。

凹凸について

拘縮の時期に見られる凹凸の多くは、時間とともになめらかになっていくとされています。
ただし、半年を過ぎても残る凹凸については、別の対応を検討することがあります。この判断も、やはり時期を待つ必要があります。

こんなときは相談してください

次に当てはまる場合は、想定される経過を外れている可能性があります。自分で判断せず、ご連絡ください。

  • 痛みが日を追って強くなっている
  • 発熱がある
  • 傷口から膿が出る、赤みが広がっている
  • 片側だけ強く腫れている、左右差が大きい
  • 息苦しさ、胸の痛みがある
  • 皮膚の色が変わってきた
  • 拘縮が半年を過ぎても改善しない

費用とリスクについて

脂肪吸引は自由診療であり、健康保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。

リスク・副作用として、痛み、腫れ、内出血、むくみ、しびれ、拘縮、左右差、皮膚のたるみ、傷跡が生じることがあります。まれに、感染、血腫、脂肪塞栓、皮膚の壊死、色素沈着、凹凸の残存が報告されています。効果の程度には個人差があります。

次のような場合は施術を受けられないことがあります。診察の際にお伝えください。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 血液が固まりにくい病気のある方、抗凝固薬を服用中の方
  • 重い持病がある方
  • 感染症がある方

服薬中の薬とサプリメントは、必ずお伝えください。

よくある質問

Q1. ダウンタイムはどのくらいですか。
腫れ・内出血は2〜4週間、拘縮は3〜6か月が目安です。部位と吸引量によって変わります。
Q2. 拘縮は誰にでも起きますか。
程度の差はありますが、経過として一般的に見られます。吸引量が多いほど出やすいとされています。
Q3. 硬さが半年続いています。異常ですか。
3〜6か月が目安とされていますので、半年を過ぎても改善しない場合はご相談ください。
Q4. 圧迫着はいつ外せますか。
一般に術後1か月程度ですが、部位と状態によります。自己判断で外さず、指示に従ってください。
Q5. マッサージはいつから始めればよいですか。
開始時期と強さの目安があります。診察の際に確認してください。自己流で強く行わないでください。
Q6. 仕事は何日休めばよいですか。
痛みが強いのは3日程度です。部位と職種によって変わりますので、診察の際にご相談ください。
Q7. いつ細くなったと分かりますか。
腫れが引き、拘縮が落ち着く3〜6か月後が判断の目安になります。
Q8. 術後に体重が増えたら元に戻りますか。
脂肪吸引は脂肪細胞の数そのものを減らすため、同じ場所に脂肪がつきにくくなるとされています。ただし、残った脂肪細胞は大きくなります。体重が大きく増えれば、施術した部位にも影響します。

まとめ

  • 脂肪吸引の経過は2つの山でできている
  • 第1の山=腫れ・内出血(2〜4週間)
  • 第2の山=拘縮(2〜3週間後から始まり3〜6か月まで)
  • 腫れが引いた頃に硬さが始まる。これは経過の一部であり、失敗ではない
  • 圧迫には理由がある。仕上がりに関わるので自己判断で外さない
  • 早く治すためにできるのは、圧迫・動かす・時期を守ること
  • 痛みの悪化・発熱・左右差があれば、様子を見ずに相談してください

経過にご不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。

参考文献