新しい痛み止め「ジャーナバックス」とは? ロキソニン・カロナールとの違い、作用機序、飲み方まで徹底解説

みなさん、こんにちは。
新宿にあるピオーネビューティークリニックの皮膚科専門医、鈴木です。

「美容医療を受けたいけれど、施術の痛みが心配」
そんな方に知っていただきたい、新しいタイプの飲み薬があります。
ジャーナバックス(JOURNAVX/一般名:スゼトリギン)です。

2025年1月30日に米国FDA(食品医薬品局)で承認された、従来とは異なる作用機序を持つ非オピオイド鎮痛薬です。
今回は、ジャーナバックスがどのように痛みを抑えるのか、従来の鎮痛薬との違いや、安全に使用するための注意点について解説します。

1. ジャーナバックスはどのように痛みを抑えるの?

私たちが痛みを感じるとき、皮膚や組織に加わった刺激は、末梢神経から脊髄を通って脳へと伝わります。
ジャーナバックスは「痛みの信号が脳に届く前に、その伝達を抑えるお薬」です。
炎症そのものを抑えるロキソニンとも、脳などの中枢神経系に作用するオピオイドとも異なる、新しいアプローチの鎮痛薬です。

2. ロキソニン・カロナール・オピオイド(モルヒネやフェンタニルなど)と、作用機序以外にどのような違いがあるの?

ジャーナバックスは、ロキソニンに特徴的な胃腸障害や腎機能障害、オピオイドに特徴的な眠気、吐き気、便秘、依存性や呼吸抑制などの副作用が少ないと期待されており、安全性の面でメリットがあります。
また、当院の使用経験上ジャーナバックスはカロナールやロキソニンと比較し、高い鎮痛効果が期待される鎮痛薬です。

3. 実際の鎮痛効果は?

2025年に発表された第Ⅲ相臨床試験では、腹部形成術後と外反母趾手術後の患者さんを対象に、ジャーナバックスの鎮痛効果が検討されました。
いずれの試験でも、プラセボ(偽薬)と比較して有意な鎮痛効果が認められました。

さらに、オピオイドであるヒドロコドンとアセトアミノフェンの配合薬との比較も行われています。
ジャーナバックスはオピオイド配合薬を上回る優越性までは証明されませんでしたが、急性疼痛に対して有効な非オピオイド鎮痛薬であることが示されました。

「中等度から重度の急性疼痛に対する鎮痛効果が認められた」ことが、このお薬の大きな特徴です。

4. ジャーナバックスの飲み方と内服のポイント

米国FDAで承認された標準的な用法・用量は以下のとおりです。

服用のタイミング 用量・服用方法
初回 100mg(50mg錠を2錠)を空腹時に服用
2回目 初回服用から12時間後に50mgを服用
以降 12時間ごとに50mgを服用

初回は、食事の1時間以上前、または食後2時間以上経過してから服用します。
これは、食事によって薬の吸収が遅れ、鎮痛効果が現れるまでに時間がかかる可能性があるためです。
2回目以降は食事の影響を受けにくいため、食前・食後を問わず服用できます。

錠剤は噛んだり砕いたりせず、そのまま服用してください。
なお、こちらは米国で承認された急性疼痛に対する標準的な用法・用量です。
また、14日間を超える急性疼痛治療については十分な臨床試験データがないため、必要最小限の期間で使用することが推奨されています。

5. どのくらいで効果が現れるの?

腹部形成術後の臨床試験では、痛みが軽減したと感じるまでの時間の中央値は約34分、臨床的に意味のある程度まで痛みが軽減するまでの時間の中央値は約119分でした。
一方、外反母趾手術後の試験では、痛みが軽減したと感じるまでの時間の中央値は約60分、臨床的に意味のある程度まで痛みが軽減するまでの時間の中央値は約240分でした。

このように、効果の現れ方には個人差や痛みの種類による違いがあります。
美容施術で使用する場合は、施術の2時間前までに内服していただくことをお勧めしております。

6. ジャーナバックスの副作用は?

主な副作用として、以下が報告されています。

  • 皮膚のかゆみ
  • 筋肉のけいれん
  • 血中CK(クレアチンキナーゼ)の上昇
  • 発疹

特に肝機能障害のある方では、体内の薬物濃度が高くなる可能性があります。
重度の肝機能障害がある方は使用を避け、中等度の肝機能障害がある方では減量が必要です。

7. 併用禁忌薬・注意が必要なお薬

ジャーナバックスを服用する際に、特に注意したいのが薬の飲み合わせです。
ジャーナバックスは、主に肝臓のCYP3Aという酵素によって代謝されます。
そのため、CYP3Aの働きを強く抑えるお薬と併用すると、ジャーナバックスの血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まる可能性があります。

① 併用禁忌:強いCYP3A阻害薬

代表的なものには、以下のお薬があります。

  • クラリスロマイシン(抗菌薬)
  • イトラコナゾール(抗真菌薬)
  • リトナビルを含む一部の抗ウイルス薬
  • ケトコナゾールの全身投与製剤(抗真菌薬)

② 併用時に減量が必要なお薬

ジルチアゼムやフルコナゾールなど、中程度のCYP3A阻害作用を持つお薬との併用では、ジャーナバックスの血中濃度が上昇する可能性があります。
そのため、米国の添付文書では、これらのお薬を併用する場合はジャーナバックスの用量調整が必要とされています。

③ 併用を避けるお薬

リファンピシンやカルバマゼピンなど、CYP3Aの働きを強めるお薬との併用では、ジャーナバックスの血中濃度が低下し、十分な鎮痛効果が得られない可能性があります。

④ ピルを服用している方にも注意

ジャーナバックスは、一部のホルモン避妊薬の効果を弱める可能性があります。
米国の添付文書では、特定の黄体ホルモンを含む避妊薬を使用している場合、ジャーナバックスの服用期間中と中止後28日間は、追加の非ホルモン避妊法が推奨されています。

特にイソトレチノインを内服中の方は、確実な避妊が必要となるため、十分にご注意ください。

⑤ グレープフルーツにも注意

グレープフルーツに含まれる成分には、CYP3Aの働きを抑える作用があり、ジャーナバックスの血中濃度を高める可能性があります。
服用期間中は、グレープフルーツやグレープフルーツを含む飲食物を避ける必要があります。

8. 美容皮膚科でのジャーナバックスの可能性

ジャーナバックスは、局所麻酔や神経ブロックに代わるものではありませんが、施術に伴う痛みを軽減するための新たな選択肢の一つと考えています。
痛みの感じ方は個人差が大きいため、患者さん一人ひとりに合わせて、適切な麻酔や鎮痛方法を組み合わせることが大切です。

当院はできるだけ痛みへの不安を軽減し、快適に美容医療を受けていただける環境を整えていきたいと考えています。
内服を検討している方はお気軽にお声がけください。

参考文献