ハイフの失敗例を、公的機関の報告から確認する|何が事故を分けているのか
ハイフを調べていると、「失敗」「事故」という言葉に行き当たることがあります。不安になって、この記事にたどり着いた方が多いと思います。
ハイフによる健康被害は、公的機関から実際に報告されています。やけど、神経の損傷、数か月から数年にわたって症状が残った事例が公表されています。
ただし、その報告を読むと、指摘されているのは「ハイフという施術が危険だ」ということではありません。誰が、どこで、どういう知識で行うかが問われています。
なお、当院はハイフを提供している医療機関です。そのうえで、この記事では「当院なら安全です」とは書きません。そう書くことは、結果の保証にあたるためです。
実際に報告されている事故
消費者庁が調査報告を出しています
消費者庁は、消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書として、エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故について報告を公表しています。
消費者安全法に基づく調査は、重大な事故が起きたと判断された場合に行われるものです。単なる個別のクレーム集計ではなく、公的機関が原因究明を行った調査です。
あわせて、国民生活センターからも「エステサロン等でのHIFU機器による施術でトラブル発生!−熱傷や神経損傷を生じた事例も−」という注意喚起が出されています。
報告されている症状
公表されている内容には、次のような相談が含まれています。
- 「顔面が急に熱くなり痛みが走った」
- 「熱傷になり、治るまでに半年かかると言われた」
- 「神経の一部を損傷した」
いずれも、治療に数か月を要する危害として扱われています。
治るまでに時間がかかった事例
とくに重い例として、次のような内容が報告されています。
- セルフエステで自ら機器を操作して照射し、唇の末梢神経に障害が残った。3年経ってもしびれが残っている(30歳代女性)
- 顔のリフトアップを受けたところ、耳などに不調が出た事例
3年という期間は、「しばらく様子を見れば戻る」という範囲ではありません。
どこで起きたのか
報告書が対象としているのは、エステサロンと、機器を利用者自身が操作するセルフエステでの施術です(美容医療クリニックは調査の対象範囲に含まれていません)。ただし報告書は、美容クリニックでも事故が報告されていることにも触れています。
何が事故を分けたのか
報告書が指摘している条件
公表資料のなかに、この問題の核心を示す一文があります。要旨は次のとおりです。
神経や血管の位置などの解剖学の知識を有する者が、機器の特性や施術方法を熟知して行う場合を除いては、人体に危害を及ぼすリスクが高い施術である
これは「ハイフをやめましょう」という指摘ではありません。条件つきの記述です。
つまり、
- 解剖の知識がある者が
- 機器の特性と施術方法を熟知して
- 行う場合
これを満たさない場合に、危害のリスクが高い——そう書かれています。
あわせて、リスクが利用者に十分に認識されていない実態があることも指摘されています。「痛くない」「ダウンタイムがない」といった説明だけを受けて施術に臨む状態が、問題として挙げられているということです。
解剖の知識が要る理由
なぜ解剖の知識が必要なのかは、ハイフの仕組みから説明できます。
ハイフは、超音波を体の内側の一点に集めて熱を発生させる技術です。虫めがねで日光を集めると紙が焦げるのと、考え方は同じです。
つまり、熱が発生する場所は、皮膚の表面ではありません。内側の、狙った深さです。
そして顔には、神経と血管が走っています。

熱はどこに加わるのか
狙う深さは、機種と設定(カートリッジ)によって変わります。浅い層に当てる設定と、筋膜の層まで届く設定があります。
どの深さに、どの出力で、どの位置に当てるか——ここを誤れば、意図しない組織に熱が加わります。神経に熱が加われば神経の症状が、皮膚に過剰な熱が加わればやけどが起こりうる、という理屈です。
顔面には、表情や感覚をつかさどる神経が走っており、部位によって深さが異なります。目の周囲は、眼球という別の配慮が必要な構造に近接しています。
だから「解剖の知識」なのです。
「機器がある」だけでは足りない
機器を持っていること、操作方法を知っていることと、顔のどこにどの深さで当ててよいかを判断できることは別です。
報告書が「熟知して行う場合を除いては」と書いているのは、この差を指しています。
「消費者安全法に基づく調査」とは何か
消費者安全法は、消費者の生命や身体に関わる事故が起きたときに、原因を調べて再発を防ぐための仕組みを定めた法律です。
このうち第23条第1項に基づく調査は、生命や身体に重大な被害が生じた、またはそのおそれがある事案について行われます。つまり、個別の苦情処理ではなく、社会的に対応が必要と判断されたということです。
機器の位置づけについて
医療機関で用いる機器と、それ以外の施設で用いられる機器は、同じ「ハイフ」という名前で呼ばれていても、位置づけが異なる場合があります。
医療機器として国内で承認されているかどうか、承認されていない機器を用いる場合にどのような説明が必要かは、医療広告の指針でも定められています。未承認の機器を用いる場合、医療機関は次の4点を明示することが求められます。
- 未承認の医薬品・医療機器であること
- 入手経路等
- 国内で承認されている同一・類似の医薬品等の有無
- 諸外国における安全性等に関する情報
当院で用いる機器についても、この基準に沿ってご説明しています。説明を求めていただいて構いません。
自分で機器を操作する形態について
店舗に置かれた機器を利用者自身が操作する「セルフエステ」でも、ハイフの施術が行われています。インターネット上では、個人が購入できる「家庭用」と称する機器も販売されています。
消費者庁の報告書には、セルフエステで頬に照射した際に唇が痛くなり、3年経っても痺れが残っているという被害者の事例(30歳代女性・末梢神経障害)が記載されています。事前の説明は、タブレットで2〜3分の使用方法の動画を見ただけで、問診はなかったとされています。
熱が発生するのは皮膚の表面ではなく、内側の狙った深さです。自分の顔のどこに、どの深さで神経が走っているかを把握したうえで操作することは、現実的ではありません。
起こりうるトラブルの種類
公表資料と、一般に指摘されている内容を整理します。
やけど(熱傷)
最も多く報告されているトラブルです。過剰な熱が加わることで生じます。程度によっては、治るまでに数か月を要する場合があると報告されています。
神経の症状(しびれ・麻痺)
神経に熱が加わった場合に生じるとされています。しびれ、感覚の鈍さ、動かしにくさとして現れます。
前述のとおり、3年経ってもしびれが残っているという事例が報告されています。神経の症状は、必ずしも短期間で回復するとは限りません。
目に関わる症状
目の周囲は、専用の設定が必要な部位です。眼球に近いため、取り返しのつかない事態につながる可能性が指摘されています。
この部位を扱うかどうか、扱うならどう扱うかは、施術を行う側の判断が問われる部分です。
顔がこけたように見える
もともと皮下脂肪が少ない方に強い出力を当てた場合に指摘されます。受ける前の見立てに関わる問題です。
左右差
照射の設計が左右で揃っていない場合に生じることがあります。
効果が出ない
「失敗」という言葉で検索される方のなかには、期待した変化が出なかったという意味で使っている方もいます。これは健康被害ではありませんが、実際には多い不満です。
「効果が出なかった」という失敗について
原因は、おおむね次のいずれかに整理できます。
判断した時期が早すぎた
ハイフの変化が最も現れるのは施術から1〜3か月後とされています。施術の翌週に鏡を見て「変わらない」と判断するのは、時期として早すぎます。
たるみの程度が適応を超えていた
皮膚が大きく余っている状態や、脂肪の下垂が大きい状態には、ハイフだけでは対応しにくいとされています。
このような場合、糸リフトなど別の方法が検討されます。「効かなかった」のではなく、方法が合っていなかったということになります。
照射の設計が合っていなかった
狙う深さ、出力、ショット数が状態に合っていなかった場合です。次回の設計を変えることで改善が期待できることがあります。
そもそも診察がなかった
適応の判断をせずに照射を行えば、合わないケースが出るのは当然のことです。これは、後述の「受ける前に確認したいこと」につながります。
ショット数が極端に少なかった
範囲に対してショット数が足りなければ、期待する変化には届きません。価格が安い理由は、ショット数が少ないためである場合があります。契約前に、範囲とショット数を確認してください。
すでに症状が出ている場合
すぐに相談したほうがよい症状
次のような場合は、様子を見ずに医療機関にご相談ください。
- やけどのような痛み、水ぶくれ、皮膚の色の変化
- しびれ、感覚の鈍さ、顔が動かしにくい
- 目に関わる症状(見えにくい、まぶたが下がる、痛み)
- 強い痛みが日を追って悪化している
- 1週間を過ぎても腫れや痛みが引かない
- 顔の左右で明らかな差がある
とくに神経に関わる症状は、時間が経つほど判断が難しくなります。「そのうち治るだろう」と待つ理由はありません。
どこに相談すればよいか
施術を受けた施設が医療機関であれば、まずそこに連絡してください。経過を把握しているためです。
医療機関以外で受けた場合、あるいは連絡がつかない場合は、皮膚科・形成外科などの医療機関を受診してください。神経の症状がある場合は、その旨を最初に伝えてください。
記録を残してください
受診の際に役立ちます。
- いつ、どこで、どの機器で受けたか(分かる範囲で)
- 説明された内容、渡された書面
- 症状が出た時期と経過
- 症状の写真(日付が分かる形で)
記録は、時間が経つと集められなくなります。
消費者ホットラインという窓口もあります
医療の相談とは別に、消費生活センターに相談する窓口があります。全国共通の電話番号「188(消費者ホットライン)」から、お住まいの地域の窓口につながります。
契約や返金に関わる問題は、こちらが窓口になります。
受ける前に確認すること

誰が施術するのか
医師なのか、看護師なのか、それ以外なのか。これを最初に確認してください。答えられない、あいまいにされる場合は、その時点で判断材料になります。
診察があるか
照射の前に、たるみの状態、皮膚の厚み、既往歴を確認する診察があるかどうか。カウンセリングと診察は別のものです。
機器と設定の説明があるか
どの機種を、どの深さに、どのくらいの出力で当てるのか。説明を求めて、返ってくるかどうかを見てください。
症状が出たときの対応が決まっているか
施術後に症状が出た場合、誰が、どう対応するのか。対応が決まっていない場所で受けることにはリスクが伴います。
価格だけで選ばない
極端に安い価格が提示されている場合、何が省かれているのかを考える材料にしてください。
確認事項のまとめ
| 確認すること |
望ましい状態 |
| 施術者 |
誰が行うか明示される |
| 診察 |
照射前に医師の診察がある |
| 機器 |
機種名と設定の説明がある |
| リスク説明 |
起こりうる症状が事前に説明される |
| 事後対応 |
症状が出た場合の連絡先と対応が決まっている |
| 価格 |
内訳が示され、追加費用の有無が明確 |
説明を受けるときに確認したいこと
施術前の説明(同意の取得)は、形式ではなく中身が大切です。次の点が説明されているか、確認してみてください。
起こりうる症状が具体的に説明されるか
「ダウンタイムはほとんどありません」だけで終わる説明は、十分とは言えません。何が、どのくらいの期間、どのくらいの方に起こりうるのかが説明されるべきです。
受けられない場合が説明されるか
妊娠中・授乳中、施術部位の感染や炎症、体内の埋め込み機器、照射部位の挿入物など、受けられない条件が確認されるかどうか。ここを確認しない施設は、適応の判断をしていないことになります。
効果に個人差があると説明されるか
「必ず変わります」と言い切る説明は、医療広告の指針上も適切とは言えません。
質問に答えが返ってくるか
最終的には、ここが判断材料になります。「その機器はどの深さに当たりますか」「なぜその出力ですか」——答えが返ってくるかどうかを見てください。
未成年の方、持病がある方
未成年の方の場合、保護者の同意が必要になります。持病がある方、服薬中の方は、その内容を必ずお伝えください。申告がないまま施術を行うことが、リスクにつながります。
当院での考え方
医師が診察したうえで設計します
当院では、照射の前に医師が診察を行い、どの機種を、どの深さに、どの出力で当てるかを決めています。
「安全です」とは申し上げません
当院は「安全です」とは申し上げません。ハイフは熱を加える施術であり、リスクがゼロになることはありません。
申し上げられるのは、リスクを踏まえた設計をすることと、症状が出た場合に診察と対応につなげられることです。
受けないほうがよい場合もあります
診察の結果、ハイフが適していないと判断することがあります。たるみの程度がハイフの適応を超えている場合、皮下脂肪が少なく変化が望ましくない形で出る可能性がある場合などです。
その場合は、適していない理由をご説明し、別の選択肢をご提案します。
国内未承認の医療機器を用いる施術について
当院のハイフに用いるウルトラセルZiおよびウルセラプライムは、いずれも日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。医療広告に関する国の指針にもとづき、次のとおりお知らせします。
1. 未承認の医療機器であること
ウルトラセルZi、ウルセラプライムともに、日本国内では薬機法上の承認を受けていません。
2. 入手経路
国内で承認されていないため、医師の責任のもとで輸入したものを使用しています。具体的な入手経路は、施術前にご説明します。
3. 国内の承認医療機器の有無
これらと同一の性能を有する国内承認医療機器はありません。なお、美容目的で用いる超音波照射器としては、2025年に「Sofwave(ソフウェーブ)システム」が国内で初めて薬機法上の承認を受けています(承認番号 30700BZX00082000/一般的名称「皮膚引締め用超音波照射器」/使用目的は中等度又は重度の顔面及び頚部のしわの改善)。
ただし、ソフウェーブが照射する超音波は非集束であり、ハイフ(高密度焦点式超音波)とは作用機序が異なるとされています。同じ「引き締め」を目的としていても、別の機器です。
4. 諸外国における安全性等に係る情報
ウルセラプライムは米国FDA、ウルトラセルZiは韓国MFDSの認可を取得しているとされています。国内での承認審査を経ていないため、国内の基準にもとづく評価は行われていません。
未承認の医療機器を用いる施術は、公的医療保険の対象外です。また、万一健康被害が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済制度などの公的な救済制度の対象とならないことがあります。
これらをご理解いただいたうえで、施術を受けるかどうかをご判断ください。ご不明な点は、施術前に必ずお尋ねください。
費用とリスクについて
ハイフは自由診療であり、健康保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。
当院の料金(税込)は、ウルトラセルZi 両頬260shot 29,000円/全顔430shot 44,000円、ウルセラプライム 両頬300shot 看護師施術 138,000円・医師施術 180,000円、ソフウェーブ 両頬100shot 70,000円です。最新の内容は料金表をご確認ください。
リスク・副作用として、赤み、腫れ、むくみ、筋肉痛のような痛み、乾燥が生じることがあります。まれに、やけど、神経の一時的または持続する症状、色素沈着が報告されています。効果の程度・持続期間には個人差があり、変化を実感しにくい場合もあります。
次のような場合は施術を受けられないことがあります。
- 妊娠中・授乳中の方
- 施術部位に感染や炎症がある方
- 施術部位に金属や、ペースメーカーなどの埋め込み機器がある方
- 照射部位に金の糸などの挿入物がある方
- 重い持病がある方、服薬中の方
よくある質問
- Q1. ハイフは受けないほうがよいのでしょうか。
- 公的機関の報告は、施術そのものを否定するものではなく、行う者の知識と条件を問題にしています。そのうえで、リスクがゼロになることはありません。ご自身で判断するための材料としてお役立てください。
- Q2. 医療機関なら事故は起きないのですか。
- そのようには申し上げられません。リスクを下げる条件が整いやすいとは言えますが、保証ではありません。
- Q3. 自分で操作するタイプの機器はどうですか。
- 報告書には、セルフエステで自ら照射し、3年経っても痺れが残っている事例が記載されています。熱が発生するのは皮膚の表面ではなく内側の狙った深さであり、神経の走行を把握したうえで自ら操作することは現実的ではありません。慎重にご判断ください。
- Q4. 施術後に痛みが続いています。様子を見てよいですか。
- 日を追って悪化している、しびれがある、1週間を過ぎても引かない——このいずれかに当てはまる場合は、様子を見ずにご相談ください。
- Q5. 症状が出た場合、費用はどうなりますか。
- 施術を受けた施設との契約内容によります。消費生活センター(消費者ホットライン188)が相談窓口になります。
- Q6. 過去に受けて何ともなかったのですが、次も大丈夫ですか。
- 同じとは限りません。機器、設定、施術者、そのときの肌の状態が変われば、結果も変わります。
まとめ
- ハイフによる健康被害は、消費者庁・国民生活センターから実際に報告されている
- 報告が問題にしているのは施術そのものではなく、誰がどういう知識で行うか
- やけど・神経の症状が中心で、数か月から数年残った事例がある
- すでに症状がある場合は、様子を見ずに医療機関を受診する
- 受ける前に、施術者・診察・機器・事後対応を確認する
ご不明な点は診察の際にお尋ねください。