ニキビ跡の赤みを消すには|正体は「血管」です。美白化粧品が効かなかった理由

ニキビは治まったのに、赤みだけが残っている。美白化粧品も、ビタミンCの美容液も、ピーリングも試した。それでも変わらない。
そういう経緯でこの記事にたどり着いた方が多いと思います。

先に、効かなかった理由をお伝えします。
ニキビ跡の赤みは、メラニンによるものではありません。血管によるものです。

美白成分が働きかけているのはメラニンです。赤みの原因が血管である以上、そもそも届いていないということになります。やり方が悪かったわけではありません。
また、赤みが薄くなるまでには、少なくとも半年程度かかるとされています。数週間で判断して次のケアに飛びつくと、かえって遠回りになります。

なお、効果の程度や現れ方には個人差があります。

なぜニキビの後に跡が残るのか

ニキビは皮膚の炎症です

ニキビは、毛穴に皮脂が詰まり、そこで細菌が増え、炎症が起きている状態です。
炎症が起きると、体はその部分を修復しようとします。血液を集め、免疫の細胞を送り込みます。この反応そのものは必要なものです。

炎症の深さが、跡の種類を決めます

問題は、炎症がどの深さまで及んだかです。

  • 浅い層で収まった → 跡がほとんど残らない、または赤みが残る
  • やや深く及んだ → 赤みや、メラニンによる茶色が残る
  • 真皮の深いところまで及んだ → 組織が失われ、凹みとして残る

つまり、ニキビが炎症を起こしている時間が長いほど、深いところまで及ぶ可能性が高くなります。

だから「早く治す」ことが跡の予防になります

跡のケアの話をする前に、跡を残さない最良の方法は、ニキビの段階で治すことです。
すでに跡がある方でも、現在ニキビができ続けている場合は、これ以上跡を増やさないための重要な予防対策になります。

つぶすとどうなるか

指や器具でニキビをつぶすと、炎症が周囲や深部に広がることがあります。浅い層で収まるはずだった炎症が深部に及べば、赤みで済むはずだったものが凹みになる可能性が出てきます。
「気になって触ってしまう」という方は多いのですが、ここは跡の種類を分ける分岐点です。

結論|赤みの正体は「血管」です

炎症後紅斑(PIE)という状態

ニキビの後に残る赤みは、医学的には炎症後紅斑(Post Inflammatory Erythema、PIE)と呼ばれます。
「紅斑」という言葉のとおり、赤くなっている状態を指します。色素が沈着したものではありません。

なぜ赤く見えるのか

ニキビは、皮膚の炎症です。炎症が起きている間、その部分には血液が集まります。修復のために必要な反応です。
このとき、毛細血管が拡張し、あるいは損傷を受けるとされています。炎症そのものが治まったあとも、拡張したままの血管や、増えた血管が残ることがあります。

その血管が、皮膚を通して透けて見えている——これが赤みの正体です。
つまり、皮膚表面の色素沈着ではなく、皮膚の下の血管が透けて見える状態です。

茶色い跡とは原因が違います

ニキビの後には、茶色い跡が残ることもあります。こちらは炎症後色素沈着(PIH)と呼ばれ、メラニンが増えて残っている状態です。
同じ「ニキビ跡」という言葉で呼ばれますが、原因がまったく違います。

項目 赤み(炎症後紅斑) 茶色(炎症後色素沈着)
原因 血管の拡張・損傷 メラニンの増加
見え方 赤い、ピンク 茶色、褐色
美白成分 届きにくい 意味がある
期間の目安 半年以上 数か月〜1年程度

美白化粧品を赤みに使っても変化が出にくいのは、この表のとおりです。

ニキビ跡の3つの種類

赤み(炎症後紅斑)

ここまで説明したとおり、血管によるものです。比較的新しい跡に多く見られます。

茶色(炎症後色素沈着)

メラニンによるものです。赤みが落ち着いた後に、茶色へ移行することもあります。

凹み(瘢痕・クレーター)

炎症が深いところまで及び、組織が失われて元に戻らなかった状態です。
これは、赤みや茶色とは根本的に異なります。色の問題ではなく、形の問題だからです。時間の経過で自然に埋まることは期待しにくく、対処の方向も変わります。

見分け方

ご自身で確かめる方法があります。
指で軽く押してみてください。

  • 押すと色が抜け、離すと戻る → 赤み(血管)の可能性
  • 押しても色が変わらない → 茶色(メラニン)の可能性
  • 斜めから光を当てると影ができる → 凹みの可能性

血管は押されると血液が逃げるため、一時的に色が抜けます。メラニンは押しても動きません。

混在していることが多いです

実際には、赤みと茶色が混ざっていることがよくあります。同じ顔の中で、部位によって種類が違うこともあります。
ですから、「自分のニキビ跡は赤みだ」と決めつけて一つのケアに絞ると、別の種類が取り残されることになります。

どのくらいで薄くなるのか

少なくとも半年という目安

赤みは時間の経過とともに薄くなっていきますが、完全に消えるまでには少なくとも半年程度かかるとされています。
ここを知らないことが、多くの遠回りの原因になっています。

焦って強いケアを重ねないでください

数週間で変化がないと、多くの方が「このケアは合っていない」と判断します。そして次のケアに移り、また数週間で判断し、また移る——という繰り返しになります。
問題は、その過程で刺激が積み重なることです。

ピーリングを頻繁に行う、スクラブでこする、複数の高濃度成分を同時に使う。これらは炎症を新たに起こす可能性があり、赤みにとっては逆方向です。
変化が見えないことと、効いていないことは違います。半年という目安を持っていれば、途中で焦らずに済みます。

半年を過ぎても変わらない場合

一方で、半年以上経っても赤みが続く場合や、範囲が広く色が濃い場合は、医療機関で相談する価値があります。
自然に薄くなるのを待つだけでは時間がかかりすぎる、と判断される状態があるためです。

セルフケア|届くものと届かないもの

美白成分が働きかけている先

いわゆる美白成分は、メラニンの生成を抑える、あるいはメラニンの排出を促す方向に働くものです。
つまり、メラニンに対する成分です。

だから赤みには届きません

赤みの原因は血管です。メラニンではありません。作用する対象が違うため、赤みに対しては変化が出にくいということになります。
製品の良し悪しではなく、用途の違いによるものです。茶色い跡に対しては、意味があります。

赤みに対して意味のある成分

赤みに対しては、次のような成分が挙げられます。

  • レチノール……皮膚の入れ替わりに関わるとされる。刺激を感じることがあるため少量から使用する
  • ナイアシンアミド……肌の状態を整える方向で用いられる
  • ビタミンC誘導体……抗酸化の働きが指摘されている

ただし、これらで赤みが確実に消えるわけではありません。「サポートする」という位置づけとお考えください。

日焼け止めが最も重要な理由

セルフケアのなかで、最も優先していただきたいのが紫外線対策です。
理由は二つあります。一つは、紫外線が炎症を悪化させるとされることです。もう一つは、赤みから茶色への移行を招きやすくなるとされることです。

SPF30以上を目安に、毎日使ってください。曇りの日も、室内で窓のそばにいる時間も含めて考えてください。

整理

成分・ケア 主な作用先 赤みに届くか 茶色に届くか
美白成分(トラネキサム酸・アルブチン等) メラニン 届きにくい 意味がある
レチノール 皮膚の入れ替わり サポート サポート
ナイアシンアミド 肌の状態 サポート サポート
ビタミンC誘導体 抗酸化 サポート サポート
日焼け止め 悪化の予防 最も重要 最も重要
スクラブ・毛穴パック 表面の除去 逆方向 逆方向

生活のなかで気をつけたいこと

睡眠

皮膚の回復には全身の状態が関係するため、慢性的な睡眠不足は肌にとっても望ましくありません。

食事

特定の食品でニキビ跡が改善すると断定することはできません。ただし、極端な偏りは避けたほうがよいという一般論は成り立ちます。
たんぱく質やビタミンは、皮膚の構成や修復に関わる栄養素として挙げられます。

触る癖

無意識に頬を触る、頬杖をつく、髪が顔に当たる。これらはすべて摩擦です。
赤みが残っている皮膚は反応しやすい状態にあるため、触らないだけでも意味があります。

枕カバー・マスク

顔に長時間触れるものは、清潔に保ってください。マスクによる摩擦が気になる場合は、素材やサイズを見直すことも一案です。

ストレス

ストレスとニキビの関係は指摘されていますが、「ストレスをなくす」は実行しにくい助言です。まずは睡眠の確保や顔を触る癖の改善など、実行しやすい対策から取り組みましょう。

経過をどう記録するか

半年という期間を見通して続けるには、変化を自分で確かめられることが大切です。毎日鏡を見ていると、変化には気づけません。

写真の撮り方

場所・明るさ・角度をそろえて撮ってください。条件が違えば、比べる意味がありません。

  • 自然光の入る窓のそばで、正面と斜め45度から撮影する
  • フラッシュは使わない(赤みの見え方が変わります)
  • 加工やフィルターをかけない
  • できれば朝の同じ時間帯

比べる間隔

1か月おきで十分です。1週間ごとに見比べても差は出ず、判断を焦らせるだけです。

記録しておくとよいこと

  • 使っている製品と、始めた日
  • 新しいニキビができた日
  • 日焼けをした日

これがあると、何が効いたのか、何が悪化させたのかを後から振り返れます。診察の際にも役立ちます。

やってはいけないこと

こする・ピーリングを重ねる

摩擦は新たな炎症のもとになります。赤みが残っている皮膚は、すでに反応しやすい状態です。
ピーリングも、頻度が高すぎれば刺激になります。「早く落としたい」という気持ちは分かりますが、赤みに関しては逆方向です。

触る・つぶす

活動性のニキビがある場合、つぶすと炎症が深くなり、凹みとして残る可能性が高くなります。
赤みで済んでいたものが、形の問題に変わってしまうということです。

熱を加える

長時間の入浴、サウナ、熱いお湯での洗顔。血管が拡張すれば、赤みは目立ちます。
一時的とはいえ、繰り返し刺激を与えることは赤みを長引かせる原因になります。

効果が出ないからと次々に変える

前述のとおり、判断には半年程度の時間が必要です。数週間で切り替えることを繰り返すと、何が効いたのかも分からなくなります。
一つの方法を、一定期間続けてください。

医療でできること

血管に反応するレーザーという考え方

赤みの原因が血管である以上、医療では血管に作用するレーザー治療という選択肢があります。
血液中の成分に吸収されやすい波長の光を用いて、拡張した血管に作用させるというものです。数か月以上赤みが続く場合や、範囲が広く色が濃い場合に検討されることがあります。

なお、この種の機器については当院の料金表に記載がありません。一般的な選択肢としてご説明していますが、当院で行う施術としてご案内するものではありません。

真皮に働きかけるもの

マイクロニードルを用いる機器やフラクショナルレーザーは、真皮に働きかけて組織の回復を促す治療法です。
赤みそのものより、凹みや肌の質感に対して用いられることが多いものですが、赤みを含む複合的な状態に対して検討されることがあります。

当院で扱う選択肢

当院で扱っている、ニキビ跡に関連するメニューは次のとおりです(いずれも自由診療・税込)。

メニュー 料金 主な位置づけ
ポテンツァ(全顔1回) 55,000円 真皮への働きかけ
ピコハイVMLA フラクショナル 35,000〜44,000円 真皮への働きかけ

※料金は変更される場合があります。最新の内容は料金表をご確認ください。

どの方法が適するかは、赤み・茶色・凹みのどれが主かによって変わります。混在している場合は、順序を考える必要があります。

施術を受けるとき、赤みが一時的に強くなることがあります

真皮に働きかける施術は、意図的に組織へ刺激を加えて回復の反応を引き出します。したがって、施術の直後は赤みが強く出ることがあります。
一見悪化したように見える場合もありますが、治療経過として想定内の反応です。

とはいえ、予定がある時期には向きません。人前に出る予定を確認したうえで日程を決めてください。また、1週間を過ぎても強い赤みが引かない場合は、経過として想定される範囲を超えている可能性がありますので、自己判断で様子を見ずにご連絡ください。

何回くらいかかるのか

いずれの方法も、1回で完了するものではありません。複数回を前提としてお考えいただくことになります。
ただし当院では、最初にまとめて回数を決めることをおすすめしていません。1回目の反応を見てから次を考えるほうが、結果として無駄がないと考えています。

新しいニキビをつくらないこと

赤みは「炎症の跡」です

新しいニキビができ続けている限り、新しい赤みも生まれ続けます。
跡のケアだけを行っても、原因となるニキビが発生し続けていれば改善が追いつきません。

活動性のニキビがある場合

今もニキビができ続けているのであれば、まずそちらへの対処が先になります。跡のケアは、まずニキビを落ち着かせてから行うのが適切です。
活動性のニキビに対する治療は、保険診療の対象となる場合があります。皮膚科での相談も選択肢に入れてください。

国内未承認の医療機器を用いる施術について

この記事で触れている当院の機器のうち、ポテンツァは日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。ピコハイについても、国内での承認状況を当院で確認できていません。医療広告に関する国の指針にもとづき、次のとおりお知らせします。

1. 未承認の医療機器であること

ポテンツァは、日本国内では薬機法上の承認を受けていません。ピコハイは、国内での承認の有無を確認できていないため、未承認機器と同じ扱いでご説明します。

2. 入手経路

国内で承認されていないため、医師の責任のもとで輸入したものを使用しています。具体的な入手経路は、施術前にご説明します。

3. 国内の承認医療機器の有無

ポテンツァと同一の性能を有する国内承認医療機器はありません。ピコハイと同種のピコ秒レーザーには、国内承認を受けている機器があります。

4. 諸外国における安全性等に係る情報

ポテンツァ、ピコハイともに米国FDAの認可を取得しているとされています。国内での承認審査を経ていないため、国内の基準にもとづく評価は行われていません。

未承認の医療機器を用いる施術は、公的医療保険の対象外です。また、万一健康被害が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済制度などの公的な救済制度の対象とならないことがあります。

これらをご理解いただいたうえで、施術を受けるかどうかをご判断ください。ご不明な点は、施術前に必ずお尋ねください。

費用とリスクについて

上記のメニューはいずれも自由診療であり、健康保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。

リスク・副作用として、赤み、腫れ、内出血、ひりつき、乾燥、かさぶたが生じることがあります。まれに、色素沈着、感染、瘢痕が報告されています。施術後に一時的に赤みが強くなることがあります。効果の程度には個人差があり、変化を実感しにくい場合もあります。

次のような場合は施術を受けられないことがあります。診察の際にお伝えください。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 施術部位に感染や強い炎症がある方
  • 光線過敏症のある方
  • 重い持病がある方、服薬中の方

よくある質問

Q1. ニキビ跡の赤みは完全に消えますか。
「完全に消える」と言い切ることはできません。時間の経過とともに薄くなることが期待されますが、程度には個人差があります。
Q2. どのくらいで変化が出ますか。
少なくとも半年程度をみていただくことになります。数週間で判断するのは早すぎます。
Q3. 美白化粧品はまったく無意味ですか。
赤みに対しては届きにくいというだけで、茶色い跡に対しては意味があります。両方がある場合は、使い分けが必要です。
Q4. ファンデーションで隠しても大丈夫ですか。
隠すこと自体に問題はありません。ただし、落とすときの摩擦にはご注意ください。
Q5. 赤みが茶色に変わることはありますか。
あります。紫外線を浴びると移行しやすくなるとされていますので、日焼け止めによる対策が重要です。
Q6. 皮膚科と美容クリニックのどちらに行けばよいですか。
活動性のニキビがある場合は皮膚科での治療が先になることが多いです。跡そのものへの治療は、美容医療の領域になります。
Q7. 何もしなくても薄くなりますか。
赤みは時間の経過とともに薄くなっていくとされています。ただし、新しいニキビができ続けている場合や、紫外線を浴び続けている場合は、その分だけ時間がかかります。
Q8. 赤みの上からピーリングをしてもよいですか。
頻度によります。刺激が重なれば、新たな炎症のもとになります。自己判断で回数を増やさないようにしてください。医療機関で受ける場合は、状態を見たうえで判断します。

まとめ

  • ニキビ跡の赤みは炎症後紅斑。原因は血管であり、メラニンではない
  • 美白成分は届きにくいため、茶色い跡とは分けて考える
  • 押すと色が消えるかどうかで、赤みか茶色かを見分けられる
  • 薄くなるまで少なくとも半年程度。焦って強いケアを重ねない
  • セルフケアで最も重要なのは日焼け止め
  • 新しいニキビが出続けている場合は、まずそちらへの対処が先

赤み・茶色・凹みのどれが主かは、診察で確認する

参考文献