ニキビがクレーターになる原因|凹むかどうかを分ける一線はどこにあるか

同じようにニキビができても、跡が残らない人と、頬に凹みが残る人がいます。
なぜ自分は凹んだのか。体質なのか。あのとき何かが違っていれば防げたのか——そういう問いを持ってこの記事にたどり着いた方が多いと思います。

凹むかどうかを分けるのは、炎症がどの深さまで届いたかです。
皮膚の浅い層(表皮)で収まった炎症は、肌が入れ替わる過程で回復します。しかし、その下の層(真皮)まで炎症が及ぶと、正常な修復ができなくなります。組織が壊れ、埋め直しがうまくいかず、表面が凹んだまま残ります。

そして、炎症を深くまで届かせる代表的な行為が、自分で潰すことです。
この記事では、その仕組みを説明します。すでに凹みがある方には、なぜそうなったのかを。今ニキビがある方には、どうすれば凹まずに済むのかを。

なお、クレーターは皮膚の構造が変わった状態です。元どおりになると断定することはできません。

結論|分かれ目は「表皮で収まるか、真皮に届くか」

皮膚は層でできています

皮膚は、外側から順に表皮・真皮・皮下組織という層で構成されています。
表皮は、いちばん外側の薄い層です。一定の周期で細胞が入れ替わっています。すり傷が数日で治るのは、この入れ替わりのおかげです。
真皮は、その下にある厚い層です。コラーゲンやエラスチンといった線維が網目のように張り巡らされ、皮膚の厚みと弾力を支えています。

表皮で収まった場合

ニキビの炎症が表皮の範囲で収まれば、肌の入れ替わりによって元の状態に戻っていきます。
赤みや茶色い跡がしばらく残ることはありますが、表面の形は変わりません。時間の経過とともに目立たなくなっていきます。

真皮まで及んだ場合

一方、炎症が真皮まで及ぶと、事情が変わります。
真皮には、表皮のような入れ替わりの仕組みがありません。壊れたコラーゲンの網目は、そのまま元どおりに組み直されるわけではないのです。
体は傷を修復しようとしますが、その修復が元の構造を再現できない——これが凹みの正体です。

なぜ真皮だと戻らないのか

分かりやすく言えば、表皮は「はがれて生え替わる」層、真皮は「一度組み上げたら作り直しがきかない」層だからです。
セーターの表面の毛玉は取り除けば元に戻りますが、編み目そのものが切れてしまえば、同じようには戻りません。真皮で起きているのは、後者に近いことです。

凹みができる仕組み

傷を埋めようとする働き

真皮が壊れると、体はその部分を埋めようとします。新しいコラーゲンをつくって、傷を塞ごうとするのです。
これは正常な反応です。問題は、その量の調節がうまくいかないことにあります。

埋めすぎる場合と、足りない場合

修復の過程では、コラーゲンが過剰につくられることもあれば、逆に足りなくなることもあるとされています。

  • 足りなかった場合 → その部分が周囲より低くなり、凹んで見えます
  • 多すぎた場合 → 盛り上がった跡(肥厚性瘢痕・ケロイド)になることがあります

ニキビ跡のクレーターは、前者です。

コラーゲンを壊す酵素が働くこと

炎症が起きると、皮膚のなかであるたんぱく質が増えることが知られています。そしてこのたんぱく質が増えると、コラーゲンを分解する酵素の働きが活発になるとされています。
つまり、炎症が続いている間、真皮のコラーゲンは壊され続けているということです。

壊された部分が十分に埋め直されなければ、そこは低いまま残ります。炎症が強く、長く続くほど、この過程が進むという関係になります。

結果として表面が凹む

  • 炎症が真皮まで及ぶ
  • コラーゲンが分解される
  • 修復のために新しいコラーゲンがつくられる
  • その量と配置が元どおりにならない
  • 表面が凹んだ状態で固定される

ニキビが炎症を起こすまでの流れ

「炎症が真皮に届くかどうか」が分かれ目だとお伝えしました。では、その炎症はどこから始まるのでしょうか。

1. 毛穴が詰まる

皮脂の分泌が増えたり、毛穴の出口の角質が厚くなったりすると、毛穴が塞がります。この段階では炎症はありません。
見た目には、白ニキビ(白く盛り上がった状態)や黒ニキビ(出口が酸化して黒く見える状態)として現れます。
この段階なら、跡が残る心配はほとんどありません。

2. 内部で細菌が増える

塞がれた毛穴のなかは、皮脂がたまり、空気が届きにくい環境になります。この環境で、皮膚に常在する細菌が増えるとされています。

3. 炎症が起きる

体は、増えた細菌に対して反応します。赤く腫れ、痛みを伴う状態になります。これが赤ニキビです。
ここからが、跡になるかどうかの分岐点です。

4. 炎症が深部へ広がる

炎症が強い場合、あるいは長く続く場合、毛穴の壁が壊れて内容物が周囲に漏れ出すことがあります。すると炎症は毛穴の外へ、そして深部へ広がります。
膿を持ったニキビや、しこりのように硬いニキビは、この段階に近づいている状態です。

どの段階で止めるか

順に見ていくと、止めるべき場所がはっきりします。
1〜2の段階なら、跡にはなりません。3の段階で収まれば、赤みや茶色は残っても形は残りません。4まで進むと、凹みの可能性が出てきます。
つまり、3の段階で受診することが、最も費用対効果の高い判断です。

何が炎症を深くするのか

では、何が炎症を真皮まで届かせるのか。

炎症が強い・大きいニキビ

赤く腫れて痛みを伴うニキビ、膿を持ったニキビ、しこりのように硬いニキビ。これらは炎症が強い状態です。
白ニキビや黒ニキビの段階では、まだ炎症は起きていません。

炎症が長く続くこと

同じ強さの炎症でも、続く期間が長いほど、深部に及ぶ可能性が高くなります。
「そのうち治るだろう」と数週間放置することが、結果的に深さを増す方向に働くことがあります。

自分で潰すこと

これが最も避けていただきたい行為です。

繰り返し同じ場所にできること

同じ部位に何度も炎症が起きると、その都度、真皮に負担がかかります。繰り返すほど、凹みとして残る可能性が高くなります。

体質・遺伝の要素

修復の仕方には個人差があります。同じ程度の炎症でも、跡が残りやすい方と残りにくい方がいることは事実です。
ただし、それは「だから仕方がない」という話ではありません。炎症の深さと期間は、扱い方によって変えられるからです。

潰すとなぜ凹むのか

潰す行為がしていること

ニキビを指や爪で潰すときは、毛穴のなかにたまっているものを外に押し出そうと圧力をかけています。
毛穴のなかにたまっているものを、外に押し出そうとして圧力をかけているわけです。しかし、出口は狭い。すると、内容物は外だけでなく、周囲や深部にも押し出されます。

つまり、炎症の原因となるものを、より深いところへ、より広い範囲へ広げていることになります。
浅い層で収まるはずだった炎症を、自分の手で真皮まで届かせている——これが、潰すと凹みやすい理由です。

「膿を出せば早く治る」という考えについて

膿が出ると、その場では小さくなったように見えます。この経験があるために、「出したほうが早い」と考える方は少なくありません。
しかし、見た目が小さくなることと、炎症が収まることは別です。押し広げられた炎症は、皮膚の下で続いています。

芯を出す器具について

市販の器具を使う場合も、原理は同じです。圧力をかけて押し出すという点は変わりません。
医療機関で行う面ぽう圧出は、適応を判断したうえで、清潔な環境で、適切な器具を用いて行われます。同じ言葉でも、条件が違います。

触る癖も同じ方向に働きます

潰すほどの力でなくても、繰り返し触る、押す、こすることは、炎症を長引かせる原因になります。
無意識に頬を触る、頬杖をつく。これらも見直す価値があります。

クレーターの種類

できてしまった凹みは、形によっていくつかに分けられます。形が違えば、対応の難しさも変わります。

アイスピック型

細くて深い、針で刺したような凹みです。幅は狭いのに深いのが特徴で、対応が最も難しいとされています。

ボックス型

縁がはっきりした、底の平らな凹みです。上から見ると角ばって見えます。

ローリング型

なだらかに波打つように凹んでいるタイプです。境界がはっきりせず、光の当たり方によって見えたり見えなかったりします。
真皮の下で、皮膚が下に引っ張られていることが関わるとされています。

混在していることが多いです

実際には、複数の型が同じ顔に混ざっていることがほとんどです。「自分はローリング型だから」と一つに絞ると、別の型が取り残されます。

赤み・茶色とは別のものです

色の問題と形の問題

ニキビ跡には、赤み(血管によるもの)と茶色(メラニンによるもの)もあります。これらは色の問題です。
クレーターは形の問題です。原因も、対処の方向もまったく異なります。

見分け方

斜めから光を当ててみてください。

  • 影ができる → 形の問題(クレーター)
  • 影ができず、色だけが見える → 色の問題(赤み・茶色)

正面から明るい光を当てると、凹みは見えにくくなります。逆に、夕方の斜光や、洗面所の上からの照明では目立ちます。「時間帯によって見え方が違う」と感じるのは、このためです。

見え方を左右する条件

凹みは、光の当たり方で見え方が大きく変わります。このことは、日常でも、経過を確かめるうえでも役に立ちます。

光の向き

上から、または斜めから光が当たると影ができ、目立ちます。洗面所の照明、夕方の日差し、店舗の天井照明などが該当します。
正面から均一に光が当たると、影ができにくく、目立ちにくくなります。
「日によって違って見える」「写真では気にならないのに鏡だと目立つ」と感じるのは、光の条件が異なるからです。

皮膚の張り

むくみのある朝は目立ちにくく、夕方は目立ちやすいと感じる方がいます。皮膚の張りによって、凹みの見え方が変わるためです。
また、加齢によって皮膚の弾力が低下すると、以前より目立つようになることがあります。「昔より凹みが深くなった気がする」と感じる背景には、こうした弾力の低下が影響していることがあります。

経過を確かめるときの注意

治療の経過を写真で確かめる場合、光の条件を必ず揃えてください。条件が違えば、変化していなくても違って見えます。

  • 同じ場所、同じ時間帯で撮影する
  • フラッシュは使わない
  • 正面と、斜め45度の両方を撮る
  • 加工やフィルターをかけない

1か月ごとをおすすめします。1週間ごとでは差が分かりません。

メイクやスキンケアでの向き合い方

隠すこと自体に問題はありません

凹みを化粧で目立ちにくくすることに、医学的な問題はありません。ただし、落とすときにこすらないようにしてください。
厚く塗り重ねるほど、落とすときの負担が増えます。また、時間が経つと凹みに溜まって逆に目立つことがあります。

保湿

凹みそのものが埋まるわけではありませんが、皮膚の状態を整えるという点では意味があります。

新しいニキビをつくらないこと

繰り返しになりますが、跡のケアより、新しい炎症を起こさないことのほうが優先度が高いです。
洗顔は1日2回程度、こすらずに行います。合わない化粧品を我慢して使い続けない。基本的なことですが、ここが崩れていると、いくら跡のケアをしても追いつきません。

今あるニキビをどう扱うか

最も効果的な予防は早期の治療です

クレーターは、できてからでは元に戻るとは限りません。一方、できる前であれば防げる可能性があります。
そのため、炎症が強いニキビの段階で早期に治療を受けることが重要です。
「ニキビくらいで病院に行くのは大げさ」と考える方がいます。しかし、凹みになってからの対応のほうが、時間も費用もはるかにかかります。

炎症が強いニキビの見分け方

次のようなニキビは、炎症が強い状態です。

  • 赤く腫れている
  • 押すと痛い
  • 膿を持っている
  • しこりのように硬い
  • 2週間以上治らない
  • 同じ場所に繰り返しできる

一つでも当てはまるなら、早めに相談していただく価値があります。

保険診療という選択肢

活動性のニキビ(尋常性痤瘡)の治療は、保険診療の対象となる場合があります。
外用薬を中心とした治療が行われます。跡になってからの治療は自由診療となることが多いことを考えると、この段階で受診することの費用対効果は高いと言えます。
まずは皮膚科の受診をご検討ください。

やってはいけないこと

  • 潰す(最も重要)
  • 触る・押す
  • 市販の器具で芯を出す
  • 洗顔やスクラブで強くこする
  • 2週間以上、様子を見続ける

紫外線対策

紫外線は炎症を悪化させるとされています。また、跡が茶色く残りやすくなる要因でもあります。日焼け止めは、跡の予防としても効果的です。

できてしまった凹みへの対応

元に戻るとは限りません

クレーターは皮膚の構造が変わった状態のため、完全に元通りになると断言することはできません。
目標は、目立ちにくくすることです。

考え方の方向

対応の方向は、大きく二つあります。
一つは、凹んだ部分を持ち上げる方向。真皮に働きかけて、組織の回復を促すという考え方です。
もう一つは、引っ張っているものを切り離す方向。ローリング型のように、皮膚が下に引かれている場合に検討されます。

当院で扱う選択肢

凹みに対して当院で扱っているのは、次のメニューです(自由診療・税込)。

メニュー 料金
ポテンツァ(全顔1回) 55,000円
ピコハイVMLA フラクショナル 35,000〜44,000円
サブシジョン 25,000〜130,000円

※料金は変更される場合があります。最新の内容は料金表をご確認ください。

どれが適するかは、凹みの型・深さ・範囲によります。複数の型が混ざっている場合は、どこから手をつけるかを決める必要があります。

回数と期間

いずれも1回で完了する治療ではありません。また、変化が現れるまでに時間がかかります。
当院では、回数を先にまとめて決めることをおすすめしていません。1回受けたときの反応を見てから決めるほうが確実です。

なお、今も活動性のニキビができ続けている場合は、そちらへの対処が先になります。新しい炎症が続いている状態で跡の治療を行っても、追いつかないためです。

国内未承認の医療機器を用いる施術について

この記事で触れている当院の機器のうち、ポテンツァは日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。ピコハイについても、国内での承認状況を当院で確認できていません。医療広告に関する国の指針にもとづき、次のとおりお知らせします。

1. 未承認の医療機器であること

ポテンツァは、日本国内では薬機法上の承認を受けていません。ピコハイは、国内での承認の有無を確認できていないため、未承認機器と同じ扱いでご説明します。

2. 入手経路

国内で承認されていないため、医師の責任のもとで輸入したものを使用しています。具体的な入手経路は、施術前にご説明します。

3. 国内の承認医療機器の有無

ポテンツァと同一の性能を有する国内承認医療機器はありません。ピコハイと同種のピコ秒レーザーには、国内承認を受けている機器があります。

4. 諸外国における安全性等に係る情報

ポテンツァ、ピコハイともに米国FDAの認可を取得しているとされています。国内での承認審査を経ていないため、国内の基準にもとづく評価は行われていません。

未承認の医療機器を用いる施術は、公的医療保険の対象外です。また、万一健康被害が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済制度などの公的な救済制度の対象とならないことがあります。

これらをご理解いただいたうえで、施術を受けるかどうかをご判断ください。ご不明な点は、施術前に必ずお尋ねください。

費用とリスクについて

上記のメニューはいずれも自由診療であり、健康保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。

リスク・副作用として、赤み、腫れ、内出血、ひりつき、乾燥、かさぶたが生じることがあります。まれに、色素沈着、感染、新たな瘢痕が報告されています。効果の程度には個人差があり、変化を実感しにくい場合もあります。

次のような場合は施術を受けられないことがあります。診察の際にお伝えください。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 施術部位に感染や強い炎症がある方
  • 重い持病がある方、服薬中の方

よくある質問

Q1. クレーターは自然に治りますか。
皮膚の構造が変わった状態であるため、時間の経過で自然に埋まることは期待しにくいとされています。
Q2. 一度も潰していないのに凹みました。
潰すことだけが原因ではありません。炎症が強い、長く続いた、同じ場所に繰り返したといった要因でも、炎症が真皮に及ぶことがあります。
Q3. 今あるニキビは潰さないほうがいいですか。
はい。潰さないでください。炎症を深部と周囲に広げることになります。
Q4. 化粧品で凹みは埋まりますか。
凹みは真皮の構造の問題です。表皮に働きかける化粧品では、届きません。
Q5. 若いうちに治療したほうがよいですか。
年齢よりも、活動性のニキビが続いているかどうかが重要です。新しい炎症が続いている間は、跡の治療より、そちらへの対処が優先されます。
Q6. 皮膚科と美容クリニックのどちらを受診すればよいですか。
活動性のニキビは皮膚科が対象となります(保険診療の対象となる場合があります)。できてしまった凹みへの治療は美容医療の領域になります。
Q7. 一度の治療でどのくらい変わりますか。
程度には個人差があり、型と深さによっても変わります。一度の治療で完了するものではありません。

まとめ

  • 凹むかどうかを分けるのは、炎症が表皮で収まるか、真皮に届くか
  • 真皮には入れ替わりの仕組みがなく、修復が元の構造を再現できない
  • 炎症を深くする要因は、強さ・期間・繰り返し・そして潰すこと
  • 潰す行為は、炎症を深部と周囲に広げること
  • クレーターは元に戻るとは限らない。目標は目立ちにくくすること
  • 最も効果的な予防は、炎症が強いニキビの段階で早期に治療を受けること

今、赤く腫れたニキビがあるなら、それが分かれ目です。潰さずに、早めにご相談ください。

参考文献